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25000HIT記念リクエスト第一弾 『少年探偵団イレギュラー隊 episode from ロキの恋』 前編

    2013-07-18(Thu)

こんばんは。

おっと、予想以上にタイトルがながくなった。

ウゾさんから頂いた25000HIT記念のリクエスト第一弾の……前半です。
ダメですねぇ……プロット組まないで走り出したら、いつの間にか一万字近いものになりそうです。
まだ書き途中ですから、全体の長さはまだわかりませんが、とりあえず、前後編で終わるのは確かです。

前置きはこのくらいにしておきましょうか。

小説の本文は追記に置いてあります。興味のあるかた、時間のある方は是非に。




 教科書を鞄に詰めて帰り支度をしていると、教室に差し込む西日を遮るにようにして誰かが歩み寄ってきた。いや、誰かなどと考えるまでもないか。俺に話しかける人間などたかが知れている。教師か、あるいは、

「露木(つゆき)、そこ立つと暗い」

 顔を上げずとも、それが誰であるかはすぐにわかった。露木集。クラスのみならず、この学年の中心人物といっても過言ではないイケメン君。ふとしたキッカケで近づくことになり、今もこうして俺に話しかけてくる奇特な人物。

「だったら、電気をつければいいじゃないか」
「メンドくさい。たかが帰り支度のためだけにスイッチを入れることがメンドくさい」
「そういうのを面倒くさがる割に、きちんと教科書を持ち帰るんだね、久秀(ひさひで)は」

 そう言って、逆光にもかかわらず笑みとわかる表情を浮かべる。

「で、そんな戯言を言いに来たわけじゃないだろ?」

 俺は露木の後ろに隠れていた、わけじゃないな、立ち位置的に見えづらい少女に視線を向ける。

「集、頼れる人ってコイツのことなの? 正直、そうは思えないんだけど……」
「はっきりモノをいう奴だな。嫌いじゃないが」

 一通り教科書を詰めた鞄を机の横にかける。

「話が長くなるなら座ったらどうだ?」
「うん、そうさせてもらうよ。美樹(みき)も」

 露木は遠慮なく俺の前の席を借りる。美樹と呼ばれた少女はその隣の席へ。

「彼は文化祭の時に世話になってね。だから、個人的にはすごく信頼してるんだ」
「へいへい、どーも。俺は頼まれたからやっただけで、お前の役に立ちたかったわけじゃねぇけどな」
「ははは、わかってるよ。で、今回はオレの直接の頼みというわけではないのだけれど……紹介、というのもありかい?」

 俺は手振りで指し示された美樹を見る。ケバくはないが、だからと言って化粧してないわけじゃない。髪も茶に染め、見れば爪にはネイルアート。髪型だって、ある程度流行を追ったらしいものだ。

「人間関係の相談なら、お前の方が役に立ちそうだがな」

 予想として、この少女が教室内で目立つ方のグループに属していることを前提として、その内部での人間関係に悩んでいるのではないかと考えたわけだが、

「まあ、人間関係といえば、そう言えないこともないかな……」

 ちらりと彼女へ視線を向け、

「美樹さえよければ、だけれど久秀にも事情を話してもらえないかい?」
「まあ、集が言うなら間違いはないんだろうし……うん、わかったよ」

 こういうところで露木の信頼というやつを思い知らされる。お人好しなのもそうなのだろうが、人を安心させる、また、人をきちんと頼ることをする人間だ。だから、一方通行でない人間関係が構築しやすい。

 美樹はすぐに迷いを消し、俺に向かって語り始める。

「アンタにしてみれば、大した話じゃないんだろうけどさ……まあ、アタシとアンタのクラスメイトの双葉(ふたば)優(すぐる)っていうのとその……」
「付き合ってる?」
「うん、そう」

 言われて思い出した。そういえば、この美樹という女子、よくうちのクラスに顔を出しては双葉とか言う奴と話してたっけ。

「でもさ……こないだ」

 ふと、表情が陰る。どう考えても、恋人との楽しい思い出を語ろうって雰囲気じゃない。てことは、

「優が他の女の子と街を歩いてるの見ちゃってさ……」
「…………」

 メンドくさい。そう言いそうになるのを堪え、露木に視線を転じる。彼は彼で、そういう訳だよ、という風に肩をすくめて見せてくるし。

「つまり、浮気調査をしろってことか?」
「う、浮気って決まったわけじゃないよ! だから、それをホントかどうか確かめて欲しいって言ってるの」
「だから、浮気調査だろうが」

「そういうもん?」
「ああ、そういうもんだ」
「うーん……」

 なおも言い方に首をひねる彼女を見かねたのか、

「まあ、言い方はともかく、内容的にはそういうことだよな?」

 そう口を挟み、ようやく美樹も納得はしないまでも悩むのをやめた。

「で、だ。具体的にはどうするつもりなんだ?」
「具体的にって……尾行?」
「聞くなよ……まあいい。じゃあ、最終的にどういう結果が知りたいんだ?」

 まあ、相談してくるだけあって、方法とかが思いつかないのは致し方がない。俺の問いに彼女はしばし考え込み、

「そりゃ、してないならしてないに越したことはないけど……そう、ね。してるなら、してるという決定的な証拠。証拠が見つからないなら、それはもう信じるしかないから、それはそうと報告してもらえればいい、かな……」
「意外と現実的な答えで安心したよ。してないことの証明ってのは難しいからな」
「じゃあ、結局は尾行なのかな? そうしないと証拠は手に入らないだろうし」
「だろうな。わざわざ俺に頼むようなことでもない気がするが」

 心の底から本当にそう思う。だが、美樹が、

「知ってる人が尾行したら、バレちゃうじゃない」

 と、至極真っ当な事を言ったので俺は思わず納得した。確かに、俺ならバレても気まずくない。てか、バレる以前に気づかれない可能性すらある。それは尾行のスキルが高いという意味ではなくて、存在感故の話だが。

「ああ、まあそういうことなら俺一人でことに当たるのが順当か」
「そうだね。紹介しておいてなんだけど、オレが手を出すと余計なことになりそうだから。今回はそういうことで頼めるかな?」

 なんだか、最近の俺は露木の依頼を中心に動いている気がするが、気にしない方が身のためかもしれない。

 それに、これは俺の意思で始めたことではなくても、今は俺の思いで続けていることだ。だから、彼が気に病む必要はきっとない。

「気にするぐらいなら、今度どこかで奢れ」
「ああ、わかったよ」

 契約成立。ならば、後はこの女子から情報を引き出せるだけ引き出さないと。

「で、そいつの家は?」
「家……あの、その……」

 なんだか態度が煮え切らない。不審に思っていると、まさかの、

「知らないんだよね、実は」

 という発言。一体全体どういうことかと問いただすと、

「そのさ、アタシと優が付き合い始めたのってつい最近でさ、実はまだ家も教えてもらってないのよ。わ、悪い!?」
「悪いとは言わんが、少々予想外だった……しかしまあ、考えてみりゃ普通のことか」

 友達だからといって、その友人の自宅の位置を知っていることが当然ではないし、付き合いたてで別の駅に住んでいれば知らなくても、これもまた当然か。

「家を張ることができないとなると……」

 行動範囲で待ち伏せるしかない。とあるツテを使えば自宅を割り出すことも可能ではあるが、そこまでする必要も感じない。いや、そのためのリスクが大きすぎる。

「じゃあ、現場を押さえるために、以前に見かけた場所を中心にデートスポットで張り込むしかないな」
「そうなっちゃう? 集の紹介とはいえ、そんなことまでしてもらうのって気が引けるんだけど、ダイジョウブ?」
「大丈夫かと問われれば、大丈夫じゃないと答える。だがまあ」

 俺は集へと目を向ける。彼も視線を返してきて、

「いずれは返済してもらうさ」
「ははは、お手柔らかに頼むよ」
「それはどうかな。利子をつけなくても、今の段階で結構でかい借りだと思うけどな」

「まあ、今はその話はいいだろ? 美樹には関係ないことだし、さ」
「…………」

 俺と露木の会話をじっと見つめていた美樹は、しばらくして、

「やっぱりアタシなんかあげたほうがいいよね……集の紹介とはいえ、結局はアタシのお願いなんだし」

 なんだかいきなりモジモジしだして、

「え、エッチなこと以外だよ!」
「正直一番どうでもいいことを言い出すな、お前は。彼氏いるって言うのに、そんな対価を要求する人間に見えるのか、俺は?」
「いやぁ、アンタってモテなさそうだから、こういう機会にそういうことを要求してくるかもでしょ? だから、先制で」
「……モテないのは確かだが、余計なお世話だ」

 ため息。本当にコイツは彼氏の浮気疑惑で相談に来たようには思えない態度の軽さだ。別に純粋な、重い恋愛でなければいけないわけでもないが、だからと言って軽すぎやしないだろうか。

 それとも、か。いや、それは俺の突っ込むことじゃない。頼まれたことを遂行し、結果だけを伝えればそれでいい。

「じゃあ、放課後と休日には張ってみることにする。それでいいだろ?」
「うん、お願い。で、結局なにをすればいいのかな、アタシは」
「そんなに何かしたいのか?」

「まあ、少し気がすまないというか……」
「そうだな。すべてが終わったあとに要求しよう。それまでに考えとく」

 何を頼むか決まってないことにはどうしようもない。だったら、かかった経費なども計上できる分、事後で要求したほうがこちらも得だ。

「わかった。そういうことなら、きちんと考えておいてよね」

 集と美樹に軽く挨拶し、俺は先に帰宅した。

       ■

「ひーくん!」
「そうやって挨拶がわりに抱きつくのやめてもらえませんかね? 姉上」
「やぁん、ひーくんったらつれないこと言う!」

 頬を膨らませて拗ねてるアピールをするのは俺が呼んだとおり、姉である路城(みちしろ)市歌(いちか)だ。容姿端麗で道行けば男性の目を引くこと間違いないが、それは必ずしも見目の麗しさだけではなく、行いの数々もだろう。人によっては嬉しいものもあるだろうが、弟である俺にとっては迷惑千万な先程のような抱擁から続く、一連の過剰な愛情表現とか。そのような行いはぜひやめてもらいたい。そして、それらの行動の向く対象がすべて俺というのも如何ともしがたい事実だ。

 しかし、この姉、勉学の方は非常に微妙。極端に悪くもないが、決していい方でもない。中の下、それが俺の下す姉の学業成績の程度だ。

「じゃ、俺宿題あるから」

 さっさと振り切らないと、部屋まで付いて来かねない。

 俺はなおも擦り寄ってこようとする姉を引っペがし、部屋へと避難した。宿題は口実ではなく、きちんと存在していたので、それを先に済ます。その後、俺はクローゼットから引きずり出したダンボール箱とにらめっこしていた。

 中身は探偵七つ道具、とも言えるが、まあ伊達メガネやデジカメなどの道具類だ。悩んでいるのは、変装をする必要があるかどうか、だ。正直、俺の顔など美樹の彼氏は知らないだろうが、念には念を入れたほうがいいのか、ということを考えていた。

 思考がそちらへ完全に埋没していたため、ノックの音と、そして扉を躊躇なく開いた姉への反応が遅れた。ノックしただけまだマシなのだろうが、だからと言ってそのまま扉を開いて俺に飛びついてくる行動は看過できない。俺は抱きつかれる前に彼女の額を押さえ、そのままベッドの方へと投げる。

「ふみゃっ!」

 お尻からすとんとベッドに落ちた姉は驚いた猫のような声を上げる。

「ひーくん、ヒドイわよ」

 むくれてみせるが、俺は取り合わない。そのうちに姉も機嫌を戻したのか、俺の視線を追ってダンボールの中身を目にしたのだろう。

「にひひ」

 嫌な笑いだ。

「これは仕事かな? キチンとわたしの跡を継いで仕事をしているのね、ひーくんも。変装道具ってことは、尾行かな? かな?」

 妙に勘働きがいいのが彼女の特徴だ。故に、俺の前任として“仕事”を行っていたのであろうし。

「そうだよ」

 否定しても仕方がない。頷いてやると、彼女は目を光らせて、

「標的は? 場所は? 時間は?」

 矢継ぎ早にしてくる質問を適当にぼかしながら回答してやると、彼女は今度は至極真面目な顔になり、

「じゃあ、尾行するときに不自然じゃないように恋人のふりしたほうがよくない?」
「…………」

 彼女の意図は見え透いていたが、だからと言って意見として否定できないのも事実だ。なにせ、張るのはこの地方で有名なデートスポットを中心としたものだ。自慢じゃないが、異性どころか同性の友人すらいないに等しい俺はそういう相手など居ようはずもない。

「いいだろう。ただし、必要以上にくっつかないこと」

 それからいくつか細かい条件や約束事を伝え、姉を強制的に部屋から追い出して一息。

 なんだか、予想以上に面倒くさいことになってきた気がする。主に姉関係で、だが。
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コメント

No title

 こんにちは。
おおっーーー 此れからどの様に話が進むのか 楽しみですね。
何せ ロキの恋ですから 露木さんが恋をするのかなぁ…
何か 美樹さんも裏がありそうだし というか 此の依頼自体が裏満載そうだし。
次回 久秀さんが動くのですね 楽しみです。

ウゾさんへ

こんにちは。

どう転がしましょうかね? いや、決めてますのでご安心を。
おっと……誤解なきように言っておくと、このリクエスト短編は一エピソードに過ぎないので、恋の部分には踏み込みません。と言いつつ、とある方の恋話ではありますけども。

内容に関してここで深く語ることはやめておきます。
うん、近いうちに後編もアップするので。(まだ書いてないけど!)
そして、ええ、次回は久秀さんが動きます。プラス一名も……

コメントありがとうございました。

読みました。

ウゾさんのコメントがヒントになりました。
若い人の小説は慣れていないので、「ん?」という感じで読み進めていましたが。後編でいろいろ解るのでしょうねえ。
後編楽しみです。
それにしても、こんな長いの、よく書けるワ〜。

あ、ロキの恋だ

「ロキの恋」は長編になりそうなのかしら。
露木くんも久秀くんも、おねーさまも個性が強いメンツで楽しくなりそうです。この三人はレギュラーっぽいですものね。

さてさて、調査結果はどうなることか。
次回も楽しみにしていま〜す。

Re: 読みました。[ペチュニアさんへ]

こんばんは。

多分、若い云々関係なく、今回は特にわかりづらくなってしまったかな、と……
申し訳ありません。
一応後編が解決編になっていますので、併せて読んでいただければと思います。

このくらいの長さだったら、集中すれば一日~二日で書けます。
但し、集中すれば、の話ですが。ですので、長いものを書くためにはかなり気合入れないとダメなのですよ(笑)

コメントありがとうございました。

Re: あ、ロキの恋だ[八少女 夕さんへ]

こんばんは。

長編というよりは、『曖昧me妹』のような長さの中編といったところでしょうか。
もしかしたら、エピソードが続いて長くなるかもしれませんが、一応は一つのエピソードで連載を止めるつもりです。
個性の強い面子ですし、本編だともっとそういう方々が出てきます。でも、姉は多分準レギュラーぐらいかな……場合によっては物語に強制的に介入してくるでしょうけども。

後編も公開しましたので、調査結果はそちらをご覧いただければと。
お気に召すかは少々わかりかねますが……

コメントありがとうございました。
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プログラミングもするけど、そこまでスキルがあるわけでもない。

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基本的に脳みそお花畑な人間。




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