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【22222HIT記念のリクエスト第二弾】 Love Flavor 外伝 『女神達の午後 -バッカスからの招待状-』

    2013-05-27(Mon)

こんばんは。

タイトル見るとお分かりかと思いますが、この話は『Love Flavor』シリーズのAfterであり、外伝であり、そして、『バッカスからの招待状』でもあります。
もちろん、サキさんからのリクエストであることが前提ですが。

本編をまだほとんど進めていないのにこういうのを書くのはどうなんだろうな、とは思いましたがあえてやらせて頂きました。
『Love Flavor』本編を読まずとも、登場人物の性格はだいたい把握していただけるようなものにはしたつもりです。
というよりも、まだ本編だと紗夜、高音、美潮の三人しかまともに登場してませんからね……

この話に出てくる、“初春桜”は『童歌』のカテゴリーに置いてあるものからです。
九十九院衣や敬もその関連です。本当は他にも多くの登場人物が出てくる『Love Flavor』シリーズですが、全員を書くと混乱をきたすと思い、当たり障りのない範囲で出演してもらいました。

まあ、はっきり言ってしまうと、今回の「小説」はストーリーがありません。
お題『女神達の午後』を料理するには、いささか腕が足りなかったようです。
サキさんの期待に添えない可能性があることを、あらかじめ記しておきます。申し訳ありません……

そんな今回の本文もいつもどおり追記からです。
時間のある方、興味のある方はお付き合いいただければ幸いです。









「ひさしぶり」
「高音ちゃん!」

 待ち合わせ場所である友人宅のリビング。開始時間まで時間があったため、家の主である初春桜と雑談を交わしていたのだが、そこへパンツスーツ姿の宮下高音ちゃんがやって来たのだ。

「やあ、高音。相も変わらずだね」
「サクラこそ」

 桜とも挨拶を交わし、ホームバーのスツールに腰掛ける。

「今日は何人集まるの?」
「さあ? 正確に人数把握してない」
「てっきとー」
「あはは」

 桜さんは女性的な顔立ちをしているが、れっきとした男性だ。結婚もしている。

「でもホント、桜さんって可愛い顔してるよね」
「男として、あまり嬉しくないけどね」

 苦笑い。

「そういえば、高音は今は何を?」
「知ってるくせに。ただの会社員」
「会話の糸口じゃないか」
「そういうサクラは、今も社長やってるの?」

 そう、桜さんはお金持ちで、いくつか会社を抱えている筈だ。

「いや、今はほかの人に任せて悠々自適の生活だよ。まあ、しばらくしたらもどるつもりだけど」
「そ。新しい会社立ち上げることあったら、雇ってもらお」
「君に合いそうなのだったらそうしようかな」
「ん」

 高音ちゃんは頷き、勝手にぐい呑を用意して置いてあった日本酒を注ぐ。

「なんじゃ、高音。お主、妾に先んじて昼間から酒を飲むなど……羨ましすぎるぞ!」
「欲望ダダ漏れだね、コロモは」
「あ、衣さん、こんにちは」
「うむ、今日の良い日柄じゃな、小動物」

 入ってきてハイテンションで入ってきたのは桜さんつながりの知り合いの九十九院衣さん。いつも着物を来ている黒髪美人だ。

「えー……この年になってまでその呼ばれ方はヤダな。せっかく大人可愛いを目指してるのに」
「いやいや、カワイイを目指してる時点でなんかちゃうやろ、紗夜ちん」
「美潮ちゃんヒドイ」

 高音ちゃんと共通の友人花巻美潮ちゃんが衣さんの後ろから姿を覗かせた。

「それより、何を運んでるの?」

 高音ちゃんの指摘通り、紗夜もそれが気になっていた。ちなみに、衣さんの両脇からは靴を履いた足が見えている。ということは、美潮ちゃんは頭を持っているということか。

「ああ、敬(たかし)じゃよ。さっきリヴァプールから戻ってきたばかりでな、寝てるから担いで来たんじゃよ」
「出張?」
「いや、ほとんど観光じゃ。仕事の用もあったが、視察じゃったしの」
「ああ」

 桜さんは納得の頷きを見せ、衣さんはぱっと足から手を離した。足の方だからいいようなものの、これがもし頭だったら思いっきり打ち付けていることになる。

「ほれ、起きるのじゃ。妾に手間をかけさせるでない」
「んん……」

 敬さんとはあまり面識がないが、もともとは桜さんのクラスメイトだったらしい。それが異な縁で衣さんと知り合い、結婚に至ったというのだから驚きだ。

「あれ、ここどこだ?」

 寝ぼけ眼で辺りを見回す彼。その顔をがっちり掴んで固定した衣さんは、その唇に自身のものを押し付ける。

「本当に変わらないね、衣」
「ふん、当然じゃ!」
「当然じゃねぇよ! てか、目が覚めたと思ったらいきなりこんなとこだし、キスされるし、訳わかんねぇよッ」

「こんなとことは失敬だね、敬」
「へ? うおぁ、ここっておまえの家か!」

 慌てて立ち上がろうとして転びかける。

「まったくせわしない奴じゃのう、お主は。まあ良い、何はともあれ、酒じゃ酒」

 スツールではなく、ソファーに身を委ねた彼女は桜さんに視線を向ける。阿吽の呼吸で彼は熱燗の徳利と渡し、自身も向かいに腰掛けた。まあ、彼らも積もる話があるのだろう。

「じゃ、わしは紗夜ちんとでも話をするかね」
「じゃあ、飲み物でも用意しよっか」
「わしはノンアルで頼むで」
「あたしもノンアルにしよ」

 と言ったそばから、なみなみと注がれたぐい呑が目の前に置かれる。

「付き合い悪い。サヤも飲むべき。もちろん、シオもね」
「あはははは……」

 美潮ちゃんも頭を掻き、諦め顔だ。しょうがない、今日はとことん高音ちゃんに付き合うことにしよう。

「そういえば、刹那先輩は来るの?」
「さあ? 特に聞いてないからわからない」
「彼女は少し遅れるそうだ」

 そう答えを返したのは桜さんだった。

「そうなんですか。ありがとうございます」
「ほな、近況報告でもしあいますかね?」
「だねー……って言っても、普段からメールしてるから今更じゃない?」
「そやね」

 お互い仕事やら何やらで直接会う機会は減ったが、頻繁に彼女たちとはメールや電話でやり取りしている。

 高音ちゃんも美潮ちゃんもまだ未婚、というか付き合っている人もいないみたいで、早々に結婚してしまったのは紗夜一人。

 他愛もない雑談も、酒が入れば口が滑らかになってあちこちに脱線しつつ、いつまでも続く。

「少しお腹すいた」

 会話がひと段落したところで、高音ちゃんがそんなことを言い出す。

「乾き物でしたら、すぐご用意できますよ」

 応じたのは桜さん付きのメイドさんこと茉莉(まつり)さん。

「そう? じゃあ、スルメ」
「あ、はい。わかりました」

 足取りも軽く、ホームバーの奥にある扉へと引っ込み、すぐに器に盛ったスルメを運んできた。

「ありがとうございます。ところで、茉莉さんも飲みませんか?」
「そうですね……では、少しだけご相伴に預かりましょうか」
「なら、妾も混ぜてもらおうかの」

 問答無用で寄ってきた衣さん。テーブルの上を見ると、すでに5本以上の徳利が並んでいた。だというのに、彼女の顔は些かも赤くなっていないし、足の運びも普通だ。だが、明らかにテンションが酔っぱらいのそれである。

「愛い奴愛い奴」

 実に楽しそうに笑いながら、紗夜の緩やかに波打った髪を弄り回し、頬どうしをくっつけたりしてくる。

「それ、私もやる」

 高音ちゃんまで便乗してきて、三人で密着状態に。

「なんや、この百合っ子たちは……」
「呆れてないで、助けて」

 美潮ちゃんにSOSを求めるが、

「嫌やよ。上司にいらんお説教されたないもん」
「はくじょうもの~!」

 そうなのだ、美潮ちゃんは衣さんの一族の人間で、現在は同じ会社の上司と部下らしい。

 素知らぬ顔でスルメをくわえ始めてしまった。

「しかしのう、いくらいじっても飽きぬこの小動物っぷりは国宝級じゃないじゃろうか?」
「そんなに好きなら囲っちゃえば?」

 冗談めかして桜さんがそんなことを言い出す。しかも、衣さんもそうか、と手を打ち、

「まずは蓮の奴に直談判して……うむぅ、いくら積めば首を縦に降るかのぅ……」

 真剣に悩み始める始末。そんなところへ、一つの足音が響く。

「いくら積まれても、俺は紗夜を手放しませんよ。それに貴女の愛は敬に注ぐべきでしょう?」
「蓮!」

 紗夜は待ち人の登場に喜び、彼へ飛びつく。

「まったく……冗談じゃよ、冗談。だがまあ、妾の愛はお主の言う通り、敬に注ぐべきじゃな」

 にやり、と笑う。

「では、早速」
「とか言って、脱がしにかかってんじゃねぇよ! てか、お前も脱ぐな! 愛の注ぎ方はそれだけじゃないだろ」
「口うるさい奴じゃの。そんな口はこうじゃ」

 再びの口づけ。

「変わらないですね、貴女たちも」
「変わらないですね、じゃないですよ! 蓮さんが火に油を注ぐから衣が暴走してるんですから」
「暴走してるのはいつものことだと思うけどね……」

 諦めのため息をつく桜さん。まあ、紗夜も会うたびにいじられているので、誰がどうこうというよりも、彼女自身をどうにかしないとどうにもならない気がする。

「妾は常に自分に正直でいるだけじゃ」
「その正直者は、告白するために一ヶ月も掛けたらしいよ」
「う、うるさい馬鹿者。仕方がなかろう。妾にとっても初めてのことじゃったのだから」

 顔を赤くして叫ぶ衣さん。恥ずかしがる様子は、どこにでもいる女性のようだ。正体はあらゆる情報を収集せんとあらゆる場所に部下を潜ませている組織の次代当主なのだけれど。

「まあ良い。これで大体は揃ったのじゃろ? なら、ホストとしてきっちりまとめんか」
「わかってるよ、衣」

 桜さんはグラスにウイスキーを注ぎ、

「じゃあ、みんな各自飲み物を持ってね」

 紗夜は慌てて周りを見回すが、あいにくと飲みかけの日本酒しかなかった。しょうがない。

「では、愛する友人たちとの和やかな団欒に。乾杯」
「乾杯」

 ここにいる者は声を揃え、そしてここにいない者たちを思う。

 初春桜がつなぐ絆の世界。紗夜は縁の力を知っているからこそ、彼の志に心から賛同している。

 隣に寄り添う蓮へ、そっともたれかかる。

「ねえ、蓮」
「なんだ?」
「出会えて良かった」

 そう、素直に言える。彼は微笑み、

「愛してるよ」

 紗夜の額にそっと口づけた。
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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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コメント

こんばんは~

あの『Love Flavor』シリーズ、まだ読んでないんですけど……。
もう女神達全開です。よれよれです。
バッカスまで混ざってるからもう立ち直れないです。
お酒が絡むと本音が出てくるし楽しいですよ。
読んでるだけで酔いが回ってきて、当てられてしまいます。やれやれ……。

この始まり方確かに午後みたいなので、女神達が大集合した午後の宴の様子が楽しげに描かれていて楽しかったですよ。
みんな遠慮がないのがいいですね。羞恥心というものもいらない関係みたいだし。
本編、読まなくちゃいけないですね。
読んでないと若干人物がこんがらがってしまいますもの。

楽しい作品ありがとうございました。

Re: こんばんは~[山西 サキさんへ]

再びこんばんは。

ですよねー……読んでない前提で書いたつもりですけど、それでも説明不足がはなはだしいような気がします。そこは猛反省!

あの空間で見た目からして男子とわかるのは敬ぐらいなんですよね、絵面的に。桜さん、女顔ですし……
まあ、一番全開で暴れまわっていたのは衣さんだったかと思います。昼間から熱燗とか、どんだけなんだろう?
彼女たちはそれぞれ異な縁で結ばれ、交流を深めた者たち。お酒が入ればさらに遠慮がなくなるというものです。

少し心配でしたが、楽しんでいただけて嬉しいです。

本編はお暇なときにでも。
まだ3話までしか更新してませんけどもね。

リクエスト&コメントありがとうございました。

No title

こんばんは〜。

そっか〜、あの二人は、そうなるのね〜。
といいつつ、私も面白そうなキャラがいる『童歌』を読まないと。
仲のいい友達と、いつまでも、お酒も飲める仲になって(つまり成人まで育ったあとも)わいわい騒げるのは素敵です。
そして、女神さまたち、それぞれに幸せそうでいいですね。
遅れてくるはずの、あの方がどうなったのかは、これでは読めませんね。うむ。本編で明らかにされるのをじっくり待つ事にしましょう。

八少女 夕さんへ

こんばんは。

紗夜と蓮は結局付き合うことに……というかすでに結婚してしまってますけどね(笑)

『童歌』の方は一話しかアップしてませんし、改稿する予定なので、その後の方がよろしいかと。
リクエストの消化が終わったら、そちらにも手を出す予定です。

結局、紗夜、美潮、高音の三人は高校まで一緒で、大学は別でしたが、今でもこうしてお酒を飲んではしゃぎ合うような仲です。
新キャラの衣も幸せを掴んだりと、それぞれに幸せな生活を営んでいますからね。

> 遅れてくるはずの、あの方がどうなったのかは、これでは読めませんね。うむ。本編で明らかにされるのをじっくり待つ事にしましょう。
そうですね。彼女についてここで語ってしまうと、本編での楽しみが減ってしまうのではないかと思い、あえて遅刻という直接人物を出さない方向で処理しました。

コメントありがとうございます。
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趣味で物書きやってる元学生。
プログラミングもするけど、そこまでスキルがあるわけでもない。

普段はぐだぐだとくだらないことを考え、よく妄想の世界で遊んでいる。
基本的に脳みそお花畑な人間。




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