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『まおー』 第4話

    2012-12-01(Sat)

stella【小説・掌編】



こんばんは。

おっと……ぎりぎりの提出になってしまった……
今回もStella参加させていただきます。
そして、あいかわらずの『まおー』シリーズ。

今回書いてての反省。
まず、あれ? ギャグが少ない!? と……
うん、なんか今回は若干シリアス気味ですが。
最後なんか、ああいう風に締めてますけど、これからどう転ぶかはジャンルを考えれて察してください。

そして、名前と存在だけが登場した方二人。
姫さまの方は実はハロウィン絵に登場してますしね。
もう御一方は作中で語られますが、登場のしようがないので……

他にも、一つ目さんの登場がなかったり、スライムの再登場が思ったよりもずれ込んでたりと、勢いで書くとやっぱりこうなるのか、ということばかりです。
次回こそは一つ目さんに登場願おうかな、と……

今回もさくっと読める2000字強なので、お付き合いお願いします。
いつも通り、追記から本文は開始しますので!


・前までの話
1話
2話
3話








 ボクはクレアとかいう若造にカップを差し出す男、グレンからそっと視線を外す。若造は訝しげな顔をしていたが、気にする必要もない。

 グレン。懐かしい人物だ。愛した人が困っているというだけの理由で魔王城まで押しかけ、勇者でもないのに魔王たるボクを殺した人物。そう、それだけの技量を持った強者。

「まさか、再会できるとは思ってなかったな」
「……そうだな」

 彼の方も特に視線を合わせることなく、言葉少なに肯定する。

「体は大丈夫なのか?」
「は?」

 しばしの沈黙のあとに言われた言葉が理解できずに、思わず間の抜けた声を上げてしまった。

「だから、傷は大丈夫なのか? と……」
「ふんっ……心配するな。魔王の体はそんなにやわじゃない。そも、気遣いをするぐらいなら、最初から殺さないで欲しいものだな!」
「アイツの――アーシャの願いだったからな。すまなかった」
「はあ……まあいいさ。お前との戦いは楽しかったし、あれ以上この世界に留まっていても意味はなかっただろうしな」

 アーシャ。顔は知らないが、グレンの妻であろう人物で、彼がボクを殺しに来た理由となった人物。その顔を拝ませてもらおうと口を開くと、意外な言葉が返ってきた。

「ああ、母さんなら死んだよ。十年前にな」
「病弱だったからな。仕方あるまい」
「…………」

 案外、淡々としたグレンの言葉。本当に仕方がないと思っているのかは、表情からは知りようもなかった。

「しっかし、因果なものだね。あの時は大陸の方に降臨し、十数年居座ってお前に倒されたと思ったら、今度は平和な島国。しかも、前回の英雄様がいるとはね」
「てかさ、なんで親父俺に教えてくれなかったんだ? 前の英雄だったってこと」
「教える必要があったか?」
「……ないな」

 なんか勝手に納得した若造。出会って間もないが、どうやら自己完結しがちな人物らしい。微妙にやる気の感じられない目といい、ラフな格好といい……
「というか、今って冬じゃないのか?」
「あ? 聞くまでもなく冬だろ。それがどうかしたのか?」
「いや、だとするとお前の格好は……」

 薄手の長袖シャツの袖を折り曲げ、下は膝丈のズボン。どう考えても、冬の格好じゃない。

「いーんだよ、そんなの。いつだって俺はこの格好だぜ? まあ、色々と加護があるってのがホントの話だが」

 そう言って、無造作に突っ込んでったと思しき装飾品をポケットから取り出して見せる。

「精霊系の加護か。面白いものを持ってるものだな。誰にもらったんだ?」
「これか? この島の姫様だ。昔の話だが、城下町で迷子になってるところを連れ戻してやったんだけど、そのお礼にってな」

 この男はこの男で経歴が凄まじいような気がする。前回の英雄の息子で、この島の王女と知り合い。しかも、それを気負うことなく話してみせる感性。

「というかさ、城がなくなったってことは、家がなくなったってことだろ? どうするんだ?」
「別にどうもしないさ。城が再び組み上がるまで、その辺で過ごしていればいい」

 そう、別にどうということもない。今までだって、城がないときはあったし、その時は近隣の魔族の集落に身を寄せていたり、それこそ野宿するときもあった。

「なんだよ……女の子が野宿なんて関心しないぞ?」
「ふんっ、ボクは女である前に魔王だ。そもそも、女の子なんていう年齢でもないしな」
「でも、体はいろいろ未発達――」

 ひと睨みすると、カップの中身が一気に沸騰した。

「熱っ――」

 と言いながらも、なぜか平静な顔でカップをテーブルに置くクレア。言葉と行動が一致しないし、あまつさえ、指をお茶の中に突っ込んで温度を確かめる始末。

「おい」
「なに?」
「よく頭のネジが外れてるって言われないか?」
「さあ? 覚えてないよ、そんなこと」
「じゃあ言い直そう。脳みそスライム級だな、お前」
「スライムに脳みそあったっけ?」
「ない」

 間髪いれない返答に、しかしクレアは少し首を傾げただけで、

「それよりさ――」

 などと話題を流そうとする。本当に、よくわからない人物だ。

「たとえ貧――」

 頭をホールド。指にありったけの力を込めるが、

「乳で、しかも年増だからあんまり需要はないかもしれないけどさ、やっぱり見た目少女なわけだし、野宿はダメだと思うんだ」

 ピン、と指を立て、

「部屋空いてるし、うちに泊まれば? 城が元に戻ったら帰ればいいんだし」
「き・さ・ま――言っていいことと悪いことがあるだろ! しかもなんだ。アイアンクローが全く効いてないって」
「いや、十分に痛いんだけどさ……だから、離してもらえると嬉しい」

 ああ、こいつはおかしいんじゃない。徹底的に外れてるんだ。そう理解した。理解の範疇にないことを理解した、とも言える。ある意味、不死身の種族よりも恐ろしいかもしれない。

「ちなみに、なんでアイアンクローがあんまり効いてなかったかというと、やはりこれのお陰ね」

 そう言って、再び掲げる装飾品。まあ、かんざしだ。

 精霊系の魔法は埒外だが、どんな効能かは薄々察することができた。

 ため息を吐くほかなく、ボクは疲労を感じて椅子の背もたれに体重を預けた。

 思うことはいろいろある。過去の因縁なんかはどうでもいいが、それよりも重要なのは現代の勇者の存在。四年という歳月は彼らに十分な猶予となり、力を蓄えることができただろう。だというのに、今のボクは最低限の魔法を行使することしかできない、下級魔術師程度の力。

 死ぬのが怖いのではない。するべきことをできないうちに滅されてしまうのが口惜しいだけだ。

「…………」

 煮え湯となったお茶を懸命に冷まそうとしている若造と、その父親である前回の英雄グレン。この二人との出会いはどう転ぶのか。

 まあ、考えても仕方ないのかもしれない。

 薄汚れた天井を見上げ、ボクは東の風が運んでくる運命に想いを馳せた。



 魔王デルフィア、後にこの平穏を噛み締めることになるとは思いもよらず……
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ジャンル : 小説・文学

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コメント

No title

>魔王デルフィア、後にこの平穏を噛み締めることになるとは思いもよらず……

 続きよろしくですww
 
 それにしても貧乳キャラはぶれませんねー

晩冬さんへ

こんばんは。

ええ、次は年明けになるのかなー、と思いつつも続きは書かせていただきます。

若干、ネタとしてシツコイかなぁ、とか感じますが、今回はあまりギャグを挟む要素もなく、定番ネタでいきました。

コメントありがとうございました。

感想

読みました。
デルフィアさんとおじさんの関係、クレアくんの秘密など、気になるところ盛りだくさんでしたね。相変わらずなクレアくんとデルフィアさんの絡みもよかったです。

一つ気になったこととしては、デルフィアさんとおじさんが話すシーンですね。具体的には、デルフィアさんがおじさんをあまりにもあっけなく受け入れてしまっていないかと思いました。前回の話まででは、明確な敵意を見せていたので、余計にそう感じたのです。あくまで、自分が思ったことですが。

続くも楽しみにしています。

No title

こんばんは。

お姫さまですね。いずれお出ましになってまおー様ともからむのですね。状況のくどくならない説明、人物の登場のさせ方、いや、むしろ登場の予告編というのでしょうか、そのさりげなさがうまいですね。

完全に応援の方向性を間違っているとは思いますが、今後のサブキャラとしてのおとーさまの活躍と一つ目さんの再登場の方も、ひそかに待っております。

一つだけ。
>「まさか、再開できるとは思ってなかったな」
「再会」ですか?

No title

 おはよう御座います。
うん 上手い 流石に 手馴れた感じがする。
こーゆー ファンタジーの世界が 一番 栗栖さんの文章の魅力がでるねーーー

何か オヤジ 中々 いい感じです こーゆー人物がいると 引き締まって いいですね。 

Re: 感想[夕月望 さんへ]

こんにちは。
お読みくださりありがとうございます。

確かに、今回はどちらかというと説明回でしたからね。
前回に引き続き、過去やなにやら書いて、伏線らしきものを張ってみました。
絡みの感じはキャラが増えるごとに少しずつ変わっていくかな、とも思いますが基本は変えずに行こうと思ってます。

ふむ……敵意というよりは、居心地の悪さでしょうね。
まがりなりにも、自身を殺した人物。そして、魔王ゆえのへそ曲がり。そういったところですから。
なので、今回グレンが傷のことを聞いたりしたのとかで若干気が緩んだと……しかし、そこまで読ませる文章力がなかったということですね……反省です。

続きは今月中にあげたいですね。
どうなるかはわかりませんが……

八少女 夕さんへ

こんばんは。

はい、お姫様です。箱庭の島のお姫様……
むしろ、姫様とまおー様が絡む辺りからヒートアップさせたいな、と思ってるんですよ。
それゆえのあの引きでしたが。

今回は伏線というべきか、状況説明というべきか……いろいろ盛り込んだので話があまり前には進んでいませんし、ギャグも少なくなってしまいましたが……くどくないと言ってくださって一安心です。

グレンもキーパーソンですし、一つ目さんはなんだかんだ言って魔王様の部下ですからあちこちに出没することでしょう。
期待に応えられるようにしたいとおもいます。

そして、ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきました。

ウゾさんへ

こんばんは。

なにも考えないで書くがゆえに、もっとも自分らしい文章なのだろうな、と……
読みやすいかどうかは全く別の話ですが。
ファンタジーは何が起こっても不思議じゃないという前提があるので、色々と書きやすいんですよね。
『まおー』は設定を綿密に練ってる訳ではないので、その場その場で考えた設定がちょこちょこ出てきます。
矛盾しないようにしなければな、と気をつけてるけどねー……

グレンは表立って派手なことをするタイプではないですが、大人らしくきちんとクレアたちの背中を支えている人物として描いていきたいですね。

No title

頭の中でキャラクターがバタバタ動くもんだから、読んでてニヤニヤします^^
紗那さんのファンタジー好きなので!
続きを楽しみに待ってますね。

No title

こんばんは。

流石!!
今回も、とても面白かったです!!

紗那さんの書く小説、どれもリズムがあって凄く読みやすいです。
これから話がどう進むのか気になります!

良い作品をありがとうございました!!

高下鉄さんへ

こんばんは。

高下さんには絵も描いてもらえましたしね。
明確なイメージがあると、そういう風に読んでもらえるのかな、と。
そして、ボクのファンタジーが好きと言ってくださってありがとうございます。
とても励みになりますので!

続きは年末もしくは年明けくらいにでも……

スカイさんへ

こんばんは。

面白かったですか!
それは一安心です。

う~ん……ボク自身はあまりリズムとか気にして書いてないので自覚はないのですが……
でも、読みやすいようでなによりです。

これからもぜひお付き合いください!
こちらこそ、毎度主催していただきありがとうございます。
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趣味で物書きやってる元学生。
プログラミングもするけど、そこまでスキルがあるわけでもない。

普段はぐだぐだとくだらないことを考え、よく妄想の世界で遊んでいる。
基本的に脳みそお花畑な人間。




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