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7000HIT記念の新連載の第二弾もとい続き 『まおー(仮)』2話

    2012-09-22(Sat)

stella
【小説・掌編】


こんばんは。

月刊誌Stella用ですが、ネタがないのでフライングで放出。
余裕があればもう一話行く予定。
というか、掌編の区分け12000字未満って結構多くないかい?
う~ん、まあ、主催者の言だしそれでいいのか……

今回は少々地の文多め。
読みにくかったら申し訳ないです!
でも、気楽に読める分量と内容のはずなので、お暇な方は付き合ってください。

では、本文は追記から!

一話を未読、またはお忘れの方はこちらから。
1話




 オレことクレアは霞のように消えゆく魔王城を見上げながら、16年の人生を振り返っていた。こんなふうな出来事に遭遇するようなきっかけはなんらなかったはずである。

 16年前、ここイースアイランドに生を受け、6歳の時に母が病気で没した。しかし、それまでに与えられた温もりを思いだし、父とともに慎ましく暮らしていた。

 そして7歳。勇者の存在を知り、子供ながらに憧れの情を抱き、心の赴くまま武術の修行を開始。猟師であった父は獣と遭遇する機会も多く、実践的な武術を得ていたために彼から一通りのことを学んだ。

 十歳になり、『勇者制度』のことを知るに至り――


『ふざけるな、この腐れ外道共』


と、悪態を付くハメになった。

 というのも、この『勇者制度』というものは、金持ちのボンボンが箔をつけるための制度であり、つまるところ貴族向け。しかも、毎年少なからぬ金銭を協会に対して収めなければならないという。

 名目上は各地で援助を受けるためとは言っているが、魔王の降臨が十数年、あるいは百年のスパンを置いてしかないことを鑑みると、協会が懐を温め、なおかつ“勇者もどき”が各地で威張り散らすためのものでしかないのは明白だった。

 それを知ったその日から、島の中央に位置する広場に設置された勇者像に蹴りを入れることを毎日欠かさずするようになった。

 最初は台座を踏みつけるように蹴っていたのだ。しかし、ある日から膝へのハイキックになり、その次は腰への飛び蹴り、そして、最終的にはおよそ3mある像の頭部へとドロップキックをかませるようになっていた。その間に魔王城がものすごく近くに降臨していたのだが、そちらに手を出そうとは思えなかった。なにより、魔族の態度が平和的すぎた。

 ああ、恐るべき身体能力とか言わないで欲しい。これでも普通の平和を望む一青年なのだから。

 だがまあ、頭部へのドロップキックをできるようになってから4年。さきほどポーカーで負けた腹いせにやったら、勇者像の首がもげた。毎日やり続けていたせいだろうか。いや、こんな脆い像を造ったほうが悪い。勇者にしてはいやに線が細かったのも無関係ではないだろう。きっと……
 まあ、そんな風に波風起こすような生き方はしてなかったので、目の前で急に起こったこの事態には目を疑うしかない。

「どーしたものかな……」

問題は消えた魔王城そのものではない。それに付随して落っこちてきたものの方だ。いや、モノ扱いはいただけないか。なにせ人形の生き物だ。

 目を凝らしてみると、頭の右横から角が生えているのが見える。魔族の一人らしいが、どうも様子がおかしい。落ちることに抵抗する素振りもなく、ただ落ちるがまま。ただまあ、まとったマントが大きく風をはらみ、落下速度を緩めているのが多少の救いなのかも知れないが、

「落ちたら痛いことに変わりはないか。しかも、生きてる保証もないし」

魔族と言えども、高所から落下して生きてる保証はない。頑丈なのも多いが、生物であることもまた確かなのだから。

「さてー……」

独り言が多いが気にするな。考えるときの癖なんだ。

 見回すと、なぜだか大量のスライムが落下してきている。紡錘形のためか、空気抵抗をあまり受けないようで、落下速度が早い。地上に到達しかけているのもある。

「うん、そうですよねぇ」

考えはまとまった。スライムはゼリー質の体だ。衝撃を受け止める力もあるだろう。これを地面に敷き詰めておけばクッションの代わりにはなる。ということで、

「よっとッ!」

地面を蹴り、一番低い位置にいるスライムを蹴ってある一点に送り込む。そして、オレ自身はその勢いを利用し、更に一段上のスライムへと。それもさきほどの場所に蹴り込み、またもや上へ。

 そうしてスライムを階段のように利用し、蹴って一点に集めながら上を目指す。9年間欠かさず鍛えてきた足腰だ。このくらいは余裕と言えよう。しかし、問題は加速度の付いた人の体を受け止めきれるかどうか。

「あ、そっか」

なにも、そのままの勢いにしておくことはない。オレは下に集まったスライムの層の厚さを見て、ある程度に達していることを確かめる。そして、今まで下へ向かって蹴っていたスライムを、今度は上へと。ただ、上に行くことも忘れてはいけないので、上下一回ずつ。上へ行く時は更に勢いをつけて跳ぶ。蹴り上げたスライムは小柄な片角の腰にぶつかり、

「くふ――」

と妙な空気の漏れるような音を聞いたが気にしない。ついでに、軋むような音も聞こえた気がしたが、まあ、気のせいだろう。

 時間にして一分足らず。集中することによって加速した体感時間的には数分の時間が経過。間近に迫った小柄な体を抱きとめ、足下に一匹のスライムを踏みつけて自由落下。

 地面までは十秒もなかっただろう。足裏のスライムが断末魔のような、

「ぷぎゅッ!」

という悲鳴が上がったが、それがどのスライムのものだったのかはわからない。なにせ、地面にいたスライムはオレと腕のなかの人物の重さのせいでほとんどが衝撃を受け止めきれずに弾け飛んだからだ。

 連鎖する悲鳴と破裂音が耳に痛いが、足腰への衝撃はさほどでもなかった。さすがスライム。クッション性能は抜群のようだ。体液まみれで凄まじいことになってるし、なんか口の中が酸っぱい感じするのだが。

「さてー……」

腕の中でぐったりしている片角を見る。抱きしめた時にも感じたが、随分と華奢だ。しかも、背も低いし。で、なんか体が柔らかい。

「柔らかい?」

空中だったのでよく考えずに抱きとめたのだが、気づけば胸元を掴んでいることに気がついた。

 てっきり、小柄だが男だと思い込んでいたのだが(というのも、魔族に女性を見たことがなかったため)、どうやらこの片角、少女らしかった。

 うん、気づいてみればまつげ長いし、ほっぺたぷにぷにしてるし、胸柔らかいし、腰もほっそり――
「あ……」

なにしてるんだろ、オレ。気絶してるし、魔族とは言え女の子。無遠慮に胸触りまくってんじゃん。

 顔から静かに血の気が引いて行き、恐る恐る彼女の顔を見ると、


 にっこり。


 目が笑ってない。そして、華奢な体躯に似合わず、凄まじく鋭い拳が繰り出された。




 クレア16歳。魔王との出会いはスライム味がした。
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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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コメント

Re

こんばんわ

やっぱ栗栖さんの小説ってラノベですよね
私のより……ああ、クオリティが上で泣けてくる
頑張らないとな……

特に小説に関して批判するようなことはないです
むしろ、すごく面白い
続き、気になります!

というか、文字上限、そんな多くしてたんだ…
ルールは任せッきりだったので知りませんでしたww

今書いてるのは……もうすぐ8000字ですからありがたいですけど


以上です。

No title

待ちわびたああああ。
スライムを踏み台に……贅沢だ(笑)
スライム味ですか。なんとなくぶちスライムよりかは甘そうですね。

No title

読ませていただきました。
相変わらず楽しいお話を書かれますね。
表現がユニークで、読んでいてニヤリとさせられるところが多くてよかったです。
しかし、魔王さんは一人称が「ボク」なものだから、気づかないまま1話を読んでおりました。
続きも期待しています。


 一つだけ

足裏のスライムが断末魔の悲鳴のような、
「ぷぎゅッ!」
という悲鳴が上がったが、

 主語のつながりがおかしかったり「悲鳴」の重複があったりするので、少し気にかかりました。ほかはとても良かったです。

No title

 おはよう御座います。
とても 可愛い!!!!
あのイラストの 魔王が… 大騒ぎしているのか と 想像し易いです。
スライム 一匹 欲しいなぁ。

No title

面白かったです!
なん…だと…、女の子だったんですね…
すぐ殴る可愛い女の子魔王。
…それも良い!!!
続き楽しみにしていますね^^

No title

こんにちは。

はわわ、多いですかね!?
なんか、区切りとか良くわからないので、小説家の原稿に合わせたのですがやっぱり多いのか!!

このままでは、掌編だらけになってしまう……!!
規定をかえましょうか。
どのくらいが、いいのでしょう?


まおー面白かったです!!!
女の子だったのですか。意外!
そういえばイラスト胸ありましたね(笑)
続き楽しみにしています!!

篠原藍樹さんへ

こんにちは。

ええ、ラノベのつもりで書いてますから。
違うの書けと言われても無理な気はしますが。
クオリティは勢いだけで書いてるので正直自己判断はできません。ただし、誤字脱字は最小限であると思いたい。

批判なくてよかった……
> 続き、気になります!
「私、気になります!」と被って見えて思わず笑った。千反田えるじゃないんだから……

文字数については少し知らべてから新基準を提案しようかと……

コメントありがとうございました。

十二月一日 晩冬さんへ

こんにちは。

そんなに待ちわびないでください! 面白くなかったらどうしよう、とか思っちゃうので。

贅沢……ですかね?
このスライム、また近いうちに再登場の予定。
味は……ひ・み・つ!

コメントありがとうございました。

夕月望 (sogetsu2) さんへ

こんにちは。

お読みいただきありがとうございます。
面白いと言って戴けてうれしいですね。
魔王の一人称はどうしようか迷った結果、性別を誤認させるためにあえて「ボク」にしました。
まあ、誤認させたからと言ってなにもないんですけどね><
でも、すらすらと読めたようで何よりです。

あ、はい、重複表現ですね。
ボクとしたことが……さっそく地味に修正しときました。
他も目に付いたことあればどしどしおっしゃってください。
地味に修正してきますので。

コメントありがとうございました。

ウゾさんへ

こんにちは。

イラストあるとやはり想像しやすいですよね。
その点では@ぽんすけさんと高下鉄さんに感謝です!

スライム……欲しいですか?(笑)

コメントありがとうございました。

高下鉄さんへ

こんにちは。

面白かったですか! それは一安心です。
ええ、女の子です。ミスリードで「ボク」という一人称にした次第。
口よりも手が早いですが……クレアくんはどう付き合っていくのでしょかね?

続きは来週末までには、という感じですかね。
お楽しみに!

コメントありがとうございました。

スカイさんへ

こんにちは。

ええ、ちょっと多いかな、と。
でも、多いと思ったのは掌編の文字数だけかな。
多分、掌編は4000字程度までが妥当ではないかと。
後は割合順当だと思います。

面白かったですか! それはよかったです。
意外性は……やっぱりあったのかな? すぐ手が出るし、「ボク」ですからね。
ええ、ヒントはすでに出ていた件。カメラで撮ったせいで陰影が薄れましたが、確かに意図的に胸に影を付けてます。
気づいた方は少なかったようですが……
続きは来週末までぐらいには。私生活との兼ね合いもありますので、保証は出来かねますが。

コメントありがとうございました。

No title

いま、一話を読んでから戻ってきました。

スピード感があって、楽しいです。紗那さんの小説のリズム感と自由で楽しい発想にはいつも感心しています。
魔王っていうと、おっかなくて威厳があるけれど、「まおー」っていうととても可愛い。クレアくん、大変だと思うけれど、頑張ってね。

早く続きが読みたいです。

あ、個人的に一つ目さんが氣にいったので、時々登場させてくださると嬉しいです。

八少女 夕さんへ

こんばんは。

二話とも読んでくださってありがとうございます。

スピード感は書いてる時のテンションそのものとも言えます。
頭の中のテンポと噛み合わないとうまく書けないので……
発想は型にとらわれないように、とは思ってますが、この物語の出発点が『勇者のくせになまいきだ』とか、そういう既存のネタを使いつつも自分なりに組み直すスタンスなので。

ゆるっとした雰囲気で行こうと思ったら、やはり魔王というよりは「まおー」って感じなんですよね。
クレアくんは苦労性ではなく、結構な自由人なので、ハチャメチャな魔王様にも付き合っていけると信じてます。

続きはおそらく来週末までに書きますので!

一つ目は次回再登場予定ですので、お楽しみに。

コメントありがとうございました。

初コメです~♪

初コメです!w
やっぱり書くの上手ですね♪読みやすいし、頭の中ですぐ想像できますw
続きが楽しみです(>▽<)v

Re: 初コメです~♪[ナナさんへ]

こんばんは。

コメントありがとうございます。

頭の中で絵を想像して文章に起こすようにしているので、そのおかげかな、と。
読みやすい文章を書けて良かったです。
それに、面白いと言ってくださってありがとうございます。

続きは近日中に発表しますので!

読みました!

だめですよ。第二弾だけ読んで何のことだか分からず、
山西は読解力が無くなったのかと思いました。
今、ようやく1話を読んで内容を把握しました。
1話を先に読むように注意書きを入れて欲しいぐらいです。
そして、魔王、女の子なんですね。最後まで引っ張って良い展開です。
口は悪いし乱暴なキャラですが(当たり前か)なんだか気に入っています。
クレアとの組み合わせ、どのように展開するのか、楽しみにしています。
面白いです。クレア頑張れ!

Re: 読みました![山西 左紀さんへ]

こんばんは。

誤解を与える書き方……でしたか?
う~ん、きちんと第二話と書いてあったのですが……
でも、これから読む人に同じ誤解を与えるのも嫌なので少し記事修正しときました。

一話で誤解を与え、二話の最後で明かす。
普通に魔王ですからね。口は悪くて当たりまえ、みたいな感じで書いてます。
口よりも手が先に出るタイプですし。
気に言って戴けて幸いです。

クレアはクレアでひねくれてるので、ある意味変人どうしで気が合うかと……
展開は乞うご期待、ですかね?

コメントありがとうございました。
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Author:栗栖紗那

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BirthDay:5/8
BloodType:O

趣味で物書きやってる元学生。
プログラミングもするけど、そこまでスキルがあるわけでもない。

普段はぐだぐだとくだらないことを考え、よく妄想の世界で遊んでいる。
基本的に脳みそお花畑な人間。




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