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恋文 その参

    2012-05-21(Mon)

こんばんは。

もう一回ぐらい伸ばそうかとも思いましたが、今回で〆です。

あんまりだらだら書くような内容でもありませんし。

この時点で『僕』と『彼女』の結末がわかった人は……いるかな?
でも、少なくとも前回で不安を感じた人は薄々わかるのかな……

では、追記からお読みください。






ある日、僕は手紙を受け取った
手紙と言っても、封筒に入ってるわけではなく
ノートの切れ端に言葉を綴っただけのもの

彼女はいつものように
僕の机の前を通りかかるときに
それを置いて行った
見上げる僕にいつも通りの微笑みを浮かべて

「今度、映画に行こう」
人目を気にしてこっそり開いた手紙にはそんな言葉
僕は内心小躍りして
表情を取り繕うのに必死だった

約束の日
僕と彼女は駅で待ち合わせ
他愛もない話をしながら映画館へ向かった

映画が始まるまでの間
僕らは本屋で互いに好きな本について語りあった
僕が好きな作家を言うと
彼女はその人の最新刊を買い
「読み終わったら貸してあげる」
そう、微笑みと共に言った

映画は面白かった
和製ファンタジーで、彼女はこのシリーズが好きだという
でも、僕は後悔していた
映画の内容にじゃない
彼女の手を握ろうと思って
しかし、出来なかったことにだ

クリスマス
しかし、受験生である僕らに遊ぶ時間はなかった
そして、お互い親に内緒で交際していたこともあり
デートなどとしゃれ込むことは出来なかった
だから、せめて言葉を贈ろう
可愛らしいカードと共に

幸せだった
お互い志望校に合格し
これからもまた一緒に居られるのだと
そう、過信していた……

冬の終わる頃
僕は久々に彼女から手紙を貰った
いつもの、ノートの切れ端ではなく
綺麗な封筒に入れられた手紙
封筒には
「絶対に一人の時に読んでください」
そう書かれていた

学校が終わるのも待ち遠しく
友人と遊ぶ約束も突っぱねて
僕は家路を急ぎ
自分の部屋で封を切る

彼女らしい、丁寧な言葉遣い
可愛らしい文字
でも、そんな情報は頭には全然入らない
だって、その手紙には

「わかれよう」

と、そう書かれていたから

そこに至った彼女の心情を読み
その決意を知り
僕はその結末が覆すことのできないものだと
そう、結論付けてしまった

僕は声を抑えて泣いた
ただ、静かに涙を流した

卒業式の日
僕は彼女が教室で誰かと一緒にいるのを見た
その誰かとは、僕の友人で
友人は僕の顔を見るなり
「告られたけど断った」
そう言い、僕に対して平然とした態度を取った

教室を見上げた僕と
下を見下ろす彼女
視線がぶつかり合い
しかし、逸らしたのは僕だった
視界の端に移った彼女の顔は
とても寂しそうだった

2年後
僕は覇気のない高校生活を送っていた
友人と駄弁り、限りない日常がそこにあった
大学の受験費を稼ぐ目的ではじめたバイト
職場へ向かう冬の路上で
携帯がメールの受信を告げた
差出人はかつての彼女

僕は目を瞠り
すぐさま内容を読む

「突然のメール、ごめんなさい
 迷惑なのはわかっています
 でも、伝えたいことがあってメールしました

 2年前のこと覚えてますよね?
 あの時の本当のことを教えます


 別れの手紙を出した時
 わたしはあなたのことが好きなままでした

 本当に、ごめんなさい」

僕はぎゅっと携帯を握りしめ
寒空に白い息を吐いた……







さて、最後随分と長くなりましたね。
こんなことなら区切ればよかったじゃん。
そう思う諸氏もおいでかとは思います。

しかし、僕はけじめの意味でこの物語を今日で終わらそうと、そう思い、無理やりな感じはしましたが書き切ることにしました。

この物語の『僕』は臆病な性格で、初めての恋に舞い上がります。
しかし、告白していざ交際に漕ぎ着けても、あと一歩踏み込めていませんでした。
交わす愛の言葉の数々。だけど、それは彼女へ伝えきれていませんでした。
それが、このような結末を生んでしまったのです。

彼女の最後の行動は『僕』を試すものでしたが、結局はお互いが傷付くだけの結果になってしまいました。

どちらが悪かったのか。
それはわかりません。
作者であるボクでもわかりません。
でも、これが彼らの結末です。

恐らく、楽しんで読める物語ではなかったでしょうが、最後までお付き合いいただけた方には心からの謝意を述べたいと思います。

ありがとうございました。
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まとめtyaiました【恋文 その参】

こんばんは。もう一回ぐらい伸ばそうかとも思いましたが、今回で〆です。あんまりだらだら書くような内容でもありませんし。この時点で『僕』と『彼女』の結末がわかった人

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コメント

No title

 こんばんは。
うん 彼女は 形が欲しかったんだね。
僕が 手を握っていれば 結末が変わっていたのかも知れない。
別れの手紙の後 如何してと言葉にしていれば 何かが 違ったのかもしれない。
彼女も 僕も 恋の駆け引きを知るには 幼い。
男性と 女性の感性の違いが出ていて 面白かったです。
 

ウゾさんへ

今晩は。

早速読んでいただけてうれしい限りです。

ええ、『僕』と彼女の愛の求め方、そして、幼さがこのような結末を導いてしまったのでしょう……

ですが、少しでも楽しんでいただけてこの話を書いたかいがありました。

さて、ウゾさんが恋をするとしたら、どのような形になるのでしょうね。
恋の形は千差万別。
二つと同じものはないと思います。

コメントありがとうございました。
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